本日のご依頼は、クッションフロアの貼替です。
今回は店舗のクッションフロア張替えです。詳細な手順と注意点をお伝えします。
クッションフロア(CFシート)は、塩化ビニール製のシート状の床材で、クッション性があり、水に強く、清掃しやすいのが特徴です。店舗での使用されるものなので、通常の家庭で使用するものよりも、耐久性やデザイン性を考慮した製品選びが重要になります。
張替えの前に知っておくべきこと
- 店舗の床下地の状態: 現在の床がどのような状態かを確認することが重要です。コンクリート、合板、既存のフロア材など、下地によって必要な処理が変わります。
- クッションフロアの種類: 店舗用として、土足対応や防滑性、耐摩耗性に優れたものなどがあります。デザインや厚みも様々なので、店舗の用途に合わせて選びましょう。
- 接着剤の選定: クッションフロアを固定するための接着剤も、下地や環境(例えば、水回りか否かなど)に合わせて適切なものを選ぶ必要があります。
- 廃材の処理: 剥がした古いクッションフロアは産業廃棄物となるため、適切な方法で処理する必要があります。
必要な道具と材料
- 新しいクッションフロア: 施工する面積よりも少し多めに用意する(ロス分を考慮)。
- クッションフロア用接着剤: 下地や用途に合わせたもの(アクリル樹脂系エマルション形、ウレタン樹脂系など)。
- ハケまたはローラー: 接着剤を塗布するため。
- 地ベラ(またはコーキングヘラ): 隅の圧着、接着剤のはみ出し除去、カットなど多用途。
- カッターナイフ、替え刃: 精度の高いカットのため。常に切れ味の良い刃を使う。
- 定規(金属製がおすすめ): 長い辺のカット用。
- メジャー: 採寸用。
- 鉛筆またはチャコペン: マーキング用。
- ローラー(床用圧着ローラー、または手持ちの重いローラー): 全体の圧着用。
- 雑巾、ウェットティッシュ: 接着剤の拭き取り用。
- マスキングテープ: 壁や巾木を保護するため。
- スクレーパーまたはヘラ: 古い接着剤やゴミの除去用。
- パテ、コテ(下地処理が必要な場合): 凹凸をなくすため。
- サンダー(必要な場合): 下地の段差を削るため。
- 軍手、保護メガネ: 安全のため。
クッションフロア張替えの手順
1. 下準備と採寸
- 既存の床材の撤去: 現在のクッションフロアやその他の床材を剥がします。スクレーパーなどを使って丁寧に剥がしましょう。
- 下地の清掃: 剥がした後の下地を徹底的に清掃します。ホコリ、ゴミ、古い接着剤の残りなどを完全に除去します。
- 下地の確認と補修:
- 凹凸の確認: 下地に段差や凹みがないか確認します。クッションフロアは柔らかいため、下地の凹凸がそのまま表面に出てしまいます。
- 補修: 凹みやひび割れがある場合は、パテなどで平滑に補修します。乾燥には時間がかかるので、十分な時間を確保しましょう。
- カビ・湿気対策: カビが生えている場合は、カビ除去剤で処理し、乾燥させます。湿気が多い場所は、防湿シートなどを検討してください。
- 家具・什器の移動: 床にあるもの全てを移動させます。移動できない場合は、養生をしっかり行います。
- 採寸とレイアウトの検討:
- 部屋の寸法を正確に測ります。
- クッションフロアの柄の向きや、継ぎ目の位置を検討します。できるだけ継ぎ目が目立たない場所や、交通量の少ない場所に配置するように計画します。
- 継ぎ目ができる場合は、重なりしろ(約5cm)を考慮してカットします。
2. クッションフロアの仮敷きとカット
- 仮敷き: 部屋の形に合わせて、クッションフロアを大まかにカットし、一度全体に仮敷きします。壁際や柱の形に合わせて、少し大きめに(数cm程度)カットしておきます。
- 馴染ませる: 仮敷きした状態で、クッションフロアを部屋の温度に馴染ませます。可能であれば1日程度放置すると、巻き癖がとれて、後の作業がしやすくなります。
- 大まかなカット: 壁や障害物に合わせて、クッションフロアを大まかにカットします。この時、壁より少しだけ大きく残しておきます(最終的なカットは接着後に行います)。
3. 接着剤の塗布
- 部屋の半分に接着剤を塗布: まず、部屋の半分(またはクッションフロア1枚分)をめくり、下地に接着剤を均一に塗布します。ハケやローラーを使って、塗りムラがないように注意しましょう。
- オープンタイム: 接着剤の種類によっては、塗布後しばらく時間を置く「オープンタイム」が必要です。接着剤の取扱説明書を確認し、指定された時間を守ってください。オープンタイムを設けることで、接着剤の粘着力が最適になります。
4. クッションフロアの貼り付け
- 慎重に貼り付け: めくったクッションフロアをゆっくりと戻し、接着剤を塗った部分に貼り付けていきます。空気が入らないように、部屋の中央から外側に向かって、地ベラなどで空気を押し出すように圧着します。
- 圧着ローラーで圧着: 全体に貼り付けたら、圧着ローラーを使ってしっかりと圧着します。特に継ぎ目や壁際は念入りに行いましょう。これにより、接着剤が下地とクッションフロアに均一に密着し、浮きや剥がれを防ぎます。
- 残りの部分も同様に: 残りの半分も同様に接着剤を塗布し、貼り付け、圧着します。
5. 継ぎ目と端の処理
- 継ぎ目のカット: 複数のクッションフロアを継ぎ合わせる場合、重なった部分を地ベラとカッターを使って同時にカットします(重ね切り)。重ね切りすることで、継ぎ目がぴったりと合います。
- 注意: カッターの刃は常に新しいものを使用し、一気に切るように心がけましょう。
- 継ぎ目の圧着と処理: カットした継ぎ目を再度圧着ローラーでしっかり圧着します。必要であれば、継ぎ目用の接着剤やシーラーを使って、防水性を高めます。
- 壁際・柱のカット: 壁際や柱に合わせて、地ベラをガイドにしてカッターで余分な部分をカットします。壁に沿って地ベラを押し当て、少しずつ刃を進めるのがコツです。
- コツ: 壁との間に数ミリの隙間を空けるようにカットすると、クッションフロアの収縮に対応できます。後で巾木などで隠れる部分なので、完璧でなくても大丈夫です。
- はみ出した接着剤の拭き取り: 作業中に接着剤がはみ出したら、すぐに濡れた雑巾やウェットティッシュで拭き取ります。乾燥すると取りにくくなります。
6. 仕上げと養生
- 巾木・ソフト巾木の取り付け: 必要であれば、新しい巾木やソフト巾木を取り付け、壁との境目をきれいに仕上げます。
- 養生期間: 接着剤が完全に硬化するまで、数日間の養生期間を設けます。この間は、家具を戻したり、重いものを置いたりするのを避け、可能であれば通行も制限しましょう。店舗の場合は、営業時間外の作業や、部分的な区画分けなど工夫が必要です。
- 清掃: 最後に、全体を清掃して完了です。
店舗での張替えにおける追加の注意点
- 営業時間外の作業: 店舗の営業に支障が出ないよう、夜間や定休日など営業時間外に作業を行う計画を立てます。
- 換気: 接着剤を使用するため、十分な換気が必要です。窓を開ける、換気扇を回すなどして、常に空気を入れ替えてください。
- 防火対策: 特に夏場など、接着剤の溶剤が揮発して引火する可能性があります。火気の使用は厳禁です。
- 耐久性: 店舗は土足での利用や、物の移動が多い場所です。耐摩耗性や耐水性に優れたクッションフロアを選び、接着剤も店舗用に適したものを使用しましょう。
- 滑り対策: 特に水を使う場所や、高齢者や子供が利用する可能性のある店舗では、防滑性のあるクッションフロアを検討することも重要です。
以上です。
ご依頼頂き、ありがとうございました。